Sharpness

焼きもどしについて

鋼を完全に焼入れすると硬さも最高を示す。一般に刃物は只硬ければ良いというのでなく、 適度の粘さを持たされることが切味をよくし、刃こぼれを防ぐ為に有効です。 焼入後の焼もどしはこの様な意味で行う大切な作業です。
焼もどしの温度の場合は、高温度で短時間よりも、低温で長時間行った方が刃物の性質をよくするので、 作業に支障のない限り実施する。
硬質の刃物としては焼もどしを150℃〜160℃で行うのがふつうですが、刃物の粘さをよくし、 又、研磨とか砥ぎを容易にする為に、180℃〜200℃で焼もどしすることも多い。
焼入れされた鋼は非常に硬いが急冷による内部応力とマルテンサイト本来のもろさの為、 使用に適さないので、種々の焼戻温度に再加熱することによって内部応力の除去と組織の安定化、 粘性、降伏点の疲労限界等がよくなる事は周知の通りです。

焼入鋼の組織 テンパー温度と得られる組織
αマルテンサイト 100℃〜150℃ 200℃以外 200℃〜300℃ 580℃〜680℃(急冷)
βマルテンサイト
αマルテンサイトが安定化したのも
  残留オーステナイトが分解し針状のベーナイトとなりトールスタイトに変る 焼戻脆性のある鋼種の焼戻(ソルバイト)
工具等の如く硬度と耐摩耗怖が要求される場合 ショック荷重を受ける工具等の場合 機械構造用鋼
機械構造用合金鋼等の焼戻

■ 現場作業における焼もどし温度の見方
測温はできるだけ温度計を用いますが、現場で大体の見当をつける場合は下表を参照して下さい。
温度(℃) 状  況
120
130
140
150
160
170
180
190
200
250
270
400〜450
500〜550
580〜600
600以上
水を少量ふりかけると泡を生じて蒸発
水を少量ふりかけると泡を認めない位早く蒸発
水を少量ふりかけると一層急に蒸発
水を少量ふりかけると水球は生じないが直ちに蒸発
水を少量ふりかけると水球を生じて蒸発
水を少量ふりかけると水球増加
水を少量ふりかけると水球多く飛散
水を少量ふりかけると大部分水球となる
水を少量ふりかけると全部水球となり躍る
水を少量ふりかけると水球飛び上り激しく躍る
マッチ点火
木片かっ色に焦げる
木炭火花が出る
木炭燃える
火色で判断できる
焼もどし時間とかたさの関係